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言霊のこと。
人は言葉を手に入れたお蔭で、互いに心や意思を通わすことが出来る特別な動物になっているという話を聞いたことが有ります。まあ、他の動物が互いに理解しあえる言語を持っているかどうかは分かりませんが、私たちは言葉が有ることで生きていくことが少し楽になっているとは感じます。それは言葉を失った方が筆談などで苦労されている様子を拝見すれば良く分かることだと思います。
ことばは人と人を結び付ける重要な道具ですが、日本人は特に言葉を重視してきた民族だと思うことが有ります。言霊という霊的なものを大切にし、一言主神社などもあって、言葉を敬まい崇める宗教的な感覚の存在がそれを示していると思うのです。それだけ言葉に重い意味が有るのだと考えてきたのが日本人ではなかったでしょうか。
以前、ある医師の方に「言い当てる」ということが有るから、変なことは言わない方がいいよとアドバイスされたことが有ります。「髪が薄くなってきてる」などと言うとどんどん薄くなるそうで、酷いのは「こんなことしてたら死んじゃうよ」などと言い続けると命も短くなることが有るのだそうです。だからこそ、言葉に出すことがいかに気を配らなければならないことなのかを、日本人は神事にしてまで教えてきたのだと思います。それなのに、近ごろ言葉に重みをもたない話が多くなっているように感じるのは私だけでしょうか。言葉にして口に出すのは責任を持つこと。特に上に立つ人ほど気を付けなくてはいけない。そう思うことが多くなっています。言霊に恥じないようにしていきたいと思うのですが。