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「極上のお葬式」という本を拝読しました。
昨年末に幻冬舎から出版された「和尚が教える 極上のお葬式」という本を読ませていただきました。タイトルから、立派なお葬式を紹介しているのかとも思いましたが、曹洞宗のご住職がご自分のお勤めになられた様々なご葬儀と、それにまつわるご葬家の皆様の心温まるエピソードを中心に、葬儀の意味を解き明かすように書き下ろされたものでした。
この頃、葬儀を簡略に済まそうという方が増えているといいます。葬儀社様から聞こえてくるそのような声を、マスコミが大きく取り上げて、一つの流れを作っているような気もしますが、宗教者の方の中にも葬儀に疑問を投げかける方がいらっしゃって、議論が生まれています。通常、マスコミは新しい考えの喧伝に勢いを与えることが多いからでしょうか、葬儀をしないでも良い、というような方向の本がいくつも出版されているように感じます。それが時代の流れだという風潮が表れているとは思いますが、そんな中に『葬儀の意味をきちんと考えて、故人の魂に触れるような、そして残された方々の心に寄り添い、温かな区切りの時をもたらすような葬儀を実施するべきではないか』と訴えるこの本は、今本当に葬儀を考えるための大きな指針になるのではないかと思いました。
葬儀をしなかったために、故人と親しかった方々に、心の底からのお別れが出来なかったことを、自らの生涯の悔いにしてしまった、と嘆かれたこと。
それとは逆に、葬儀をしたら、その葬儀に参列くださった故人の知り合いから、故人の仕事や趣味、家族への気持ちなどを聞いて、故人が家族には見せなかった素晴らしい一面を初めて知って、故人への思いを新たにした話などなど。たくさんの方の葬儀を勤め上げられたご僧侶でなければ知り得ない話に触れ、やはり葬儀を行って、亡くなられた方に敬意を払い、お知り合いの皆様にも、また遺族の間でも、これからの人生を全うするためのけじめとする。それが大切ではないかとか強く思った次第です。