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生前戒名がもたらすこと
最近、生前戒名についてのお問い合わせが続いてありましたが、実際に生前戒名のお授けをご紹介したことについて報告したいと思います。ご依頼主はご夫妻でしっかりしたケアホームに入居されていらっしゃる方でした。ご夫妻で話し合われて、亡くなった後になってお子様たちに面倒をかけたくないという気持ちもお有りで、自分たちの戒名くらいは自分たちが納得する形で頂いておこうと結論なさったとのことでした。戒名は宗派ごとにお授けの資格をお持ちのご住職が、宗派ごとのお作法に基づいて授与なさいます。亡くなられた後、故人様はその戒名で、お釈迦様の仏弟子になります。授与されるご住職は、戒名を授ける時に、その方の生き方や思い、人々との交流の様子などをお聞きし、その方の人生が託された戒名を考えて授与されます。亡くなった後に、残されたご遺族にお話を伺って戒名を授与されることがほとんどですが、故人様の思いや、なさっていたことに、ご遺族も気が付かないままだったことなどが、戒名には盛り込まれないようになることもあります。
生前戒名になりますと、ご本人ご自身が、ご自分のことを語り、どういう方向の戒名をお望みかも詳しくご住職にお伝え出来ます。そのため、頂いた戒名に、ご自身がとても良い思い入れを抱くことが出来、またそのご家族も、戒名と戒名説明文をご覧になられて、ああそういう人生だったのかとか、そんな思いで生きて来られたのか、などと改めて知らされて、亡くなる前に心が深くつながるきっかけになった、とおっしゃられていました。
こういう実例を見ますと、生前戒名も検討に値することではないかと思いますが、いかがでしょうか。