魂の話

魂の話

ご僧侶に出仕をお願いしてお墓や仏壇に魂入れを行いたいというご依頼があります。開眼供養ということでもあるようですが、昔から大事なものとしてのお墓やお仏壇、お位牌などに、それを守る人たちの思いを込めるように、開眼し、供養する、そのための魂を入れるという法要が行われてきました。私たちは、この「魂」という言葉に大きな意味を感じてきた民族だと思います。一体魂とはどういうものなのでしょう。一般には心とか霊のようなもの、人の中に有って心の働きを制御するものなどと言われていると思います。そういうものだと私も思いますが、実生活の中での言葉として、昔はもう少し使われ方が広かったように感じます。かつて日本人は皆「魂を持っていた」のではないでしょうか。恥の概念と協力するような形で、魂があったように思います。

例えば、職業ごとに魂がありました。職人魂、医者の魂、政治家の魂、教育者の魂、というように、それは誇りある職業による義務や責任にもつながり、それを失うことは恥になる、と実は子供のころから教えられてきたのが魂だったと思います。今、お墓、仏壇、位牌などに魂を入れるという宗教行事が大事にされることと同じように、暮らしの中でそれぞれの魂を大事に、恥じない生き方をしていきたいと思うのですが・・・。

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