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秋色に想う古人の教え
『奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の 声聞くときぞ 秋は悲しき』
『千早ぶる 神代もきかず 龍田川 からくれなゐに 水くくるとは』
ともに秋を詠んだ百人一首でも有名な和歌ですが、
1つ目の和歌は、三十六歌仙の1人でもある、猿丸大夫の有名な歌です。
人里離れた奥深い山の中で、一面に散り敷き詰められた紅葉を踏み分けながら、
恋しいと鳴く牡鹿の声を聞いているときが、なお秋のもの悲しさが身に染みると詠んでいます。
2つ目の和歌は、こちらも三十六歌仙の1人で稀代のモテ男と言われた在原業平の歌です。
遥か昔、不思議なことが当たり前であった神代の世であっても、こんなことは
聞いたことがない。水面に一面の紅葉が浮かび、龍田川を鮮やかな紅色に絞り染めるなんて…と詠んでいます。
このように昔の人々は、風情を感じさせるような美しい秋を肌に感じて、
心に巡らせ、素直に感じた気持ちを詠んでいます。
さて現代の私たちはどうでしょうか…
季節を感じてても、あっという間に季節が過ぎ去ってしまって、季節をじっくり感じながら暮らしている方は少ないかもしれません。
元来、日本人は自然と共に生きてきました。『風土記』や『日本書紀』から紐解いてみても、自然と密接な関わりを持って暮らしていました。
その名残として、1年の中でも秋にお祭りが一番多いのも頷けます。
忙しい現代人だからこそ、季節感を大事にしていくべきかもしれません。
秋は四季の中でも変化の大きい季節です。
童謡にでもあるように、小さい秋見つけに行きませんか?