親に感謝する心を育てる

親に感謝する心を育てる

再び親孝行の話ですが、かつて日本も儒教の精神が広く受け入れられていた時代、親孝行は人として第一に考えなければいけないこととされていたと思います。それが、核家族化が進み、三世代、四世代同居のような大家族が少なくなった時から、次第に親孝行が言われなくなったのではないでしょうか。元々、草食系、農耕民族系は、食べ物の関係からか長く患った後に亡くなる傾向が強く、肉食系、狩猟民族系は、心疾患などで倒れてから亡くなるまでの時間が短いのだと、お医者様に聞いたことがあります。倒れて長く生きていると、当然家族は介護しなければならなくなりますから、必然的に親孝行が大事だ、と教えて将来の介護の可能性を受け入れながら生きていく。ところがすぐに亡くなるのであれば、早く自立させた方が良いという事で、核家族化が進む理屈になります。欧米では多くの家庭で、高校を卒業したら自立を考えるように、子供を教育していると聞きました。大金持ちの子供も、大学に通う資金を自分で稼ぐ人がたくさんいるそうです。そして早く家を出ていくように勧める。そのため、親子が一緒に暮らす時間は少ないのが当たり前で、そうなると、親が亡くなったときにも意外に淡々と受け入れていくようになります。今、日本もそういう傾向が見えてきたのではないかと、実は不安になっています。子供の頃を考えてみた時、たとえ貧乏であっても、何の不安もなく生きていられたのは、本当は親の庇護が常にあったからだ、と思う人は少なくなったのでしょうか。老後を、子供の負担にしたくない、というのは立派な覚悟だとは思いますが、必死に育てた親の心に報いようとしない子供たちを作ってしまうことになったらどうなのでしょうか。そういう子供が、人を思いやる人になっていけるのでしょうか、やっぱり親孝行は大事です。老後を負担させてもいいのだ、と主張できるほど子供に愛情を注ぎこんで育て、子供の方から「負担するのが当然だと思って生きている」いう言葉が出て来るような、そんな関係が良いのではないかと思うのですが・・・。

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