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動かないものへの関心の移行は心の成熟の一つ?
ゆっくり歩く、と書いた後で思い出したことがあります。人は年齢とともに、興味を持つものが次第に動きの少ないものに移っていく、という話です。子供や若い人などは動きの激しいもの、電車、車などに関心を持ち、青年期には大きく動いたり早く動く動物や人、壮年期には動きの少ない観賞魚類にも関心が広がり、老境に入ると成長の遅い植物、それからら最後には動かない石などに進むというのです。
もちろん人によって、いろいろだと思いますが、老境に入ると愛玩動物を飼う事にも興味が薄くなり、池が欲しいなあと思い始め、そのうちに庭いじりから植木や盆栽を愛で始め、ついには石を集めたり、庭でも石の配列などに関心が移っていく、そういう傾向は確かにあるように思います。次第に自分の死に場所を考えるようになったり、人生の終焉をどう形作るか考えたりして、諦めと覚悟というか悟りというか、そんな心情を持つようになっていく過程と同じことではないかと、この頃特に思うのですが・・・。
これはもしかしたら修行によって心の平安を得ていく過程にも共通することかもしれません。悟りに至ると、些細なことで心が動かなくなるだけでなく、動かないものへの慈しみの心も生まれてくる、そういうことに通じるのではないかとも思うのですが。