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歩くのが遅くなりました
人は4点歩行から、2点歩行になりやがて3点歩行になると聞いたことがあります。ハイハイから2足歩行になりやがて杖にすがるようになるという事を表すそうです。確かに、高齢化社会では杖を持つ人が増えてきたと感じるのは私だけではないでしょう。かくいう私も齢を重ねてきましたので、やがては杖を持つようになるだろうと思いますが、その前段階でしょうか、気が付いたら歩く速度がとてもゆっくりになっています。先日同級会で仲間の一人も全く同じことを嘆いていました。次々と若い人たちに抜かれていくから、まるで自分が邪魔者のように感じて、ちょっと申し訳ないような気もする・・・。そんな話でした。
しかし長年先頭に立って走り回り、今日の日本の繁栄の礎を築いてきた我々だから、日本の公道を堂々とゆっくり歩いたっていいじゃないか、最後はみんなでそう言ったのですが、実はゆっくり歩くことで見えてくるものもあるのです。歩きなれた道はともかく、余りなじみのないところを歩く時、早く歩くとそこに何があるのか、全く気付かないことがほとんどです。でも、ゆっくりと歩きながらあちこちに目を凝らすと、思いがけない出会いが有ったりします。名のある史跡、珍しい美術館、丹精込めたお庭、懐かしいものを扱うお店、かわいい動物などなど。散歩でもなく、目的があって歩いている時でも様々な眼福に恵まれるのです。歩くのが遅くなったのは、時間にゆとりがある人間に与えられた特権だと思います。