心頭滅却できるのでしょうか?

心頭滅却できるのでしょうか?

心頭滅却すれば火もまた涼し、と言いながら悠然と焼かれた、と歴史物語で読んだことがある甲州恵林寺の快川国師のお話は強烈な逸話だと思います。史実は不確かで、いろいろな説もあるそうですが、何はともあれ私などには想像もつかない凄いことでしかありません。あるご僧侶に伺うと、言葉の由来では執着から離れるために一心不乱に心を制御しようとして、それが成功すると心頭滅却の境地に入り、そうなると夏の暑い盛りでも冬の寒い時でも、身体は寒暖を感じなくなる、というような意味だということでした。

舞台の役者さんも、深い修行の中で観客に見える部分には、汗をかかなくなるといいます。特に顔などに汗をかくと化粧も崩れます。それがなくなるのは、芝居に入り込んで雑念が一切無くなるように、演技力が高まるからではないかと考えられているようです。焼かれても大丈夫、というのはいかにも難しいでしょうが、心頭滅却の境地に至れるかどうか、暮らしの中にも生かせそうなことがある話だと思いました。

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